東京高等裁判所 昭和35年(ナ)8号 判決
原告 内田徹夫
被告 遠藤重吉
〔抄 録〕
昭和三十四年二月二十二日執行の茨城県筑波郡筑波町長選挙において、原告が選挙人であり、被告が立候補して当選した者であることは当事者間に争がなく、証拠によると、訴外木村清一が被告に当選を得しめる目的をもつて選挙人に対し投票取纒め等の依頼をなしその報酬として金品を供与する等の行為をした廉によつて昭和三十四年八月四日土浦簡易裁判所において有罪判決を受け、該判決は、同年十一月二十八日東京等裁判所の控訴棄却の判決及び昭和三十五年五月二十六日最高裁判所の上告棄却の判決を経て確定したことを認めることができる。しかして右訴外人が昭和三十四年二月十五日被告の出納責任者として届出でられたことは当事者間に争がないが、同訴外人が右届出以前即ちすくなくとも同月四日頃には既に被告の出納責任者として選任されておつたとの原告主張の事実については、これを認め得べき証拠はない。却つて証拠を綜合すると、訴外木村清一は昭和三十四年二月十五日被告の出納責任者として選任されたことを認めることができる。しかして右認定事実に前示……を綜合すると、右訴外人の前記犯行は右選任前の行為であることが認められるから、公職選挙法第二五一条の二の規定の適用の余地はないものといわざるをえない。してみると原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却すべきである。
(鈴木 中村 花渕)